幼いころから、南禅寺や金戒光明寺といった古刹を遊び場にして育ってきました。公共の公園や緑地の少ない京都の街にあって、それは当たり前のことでした。緑豊かで車通りのない境内を隅から隅まで走り回り、山門の日影に腰掛けてひと息つきながら眺めやった、真夏の日差しが照りつける石畳。子供の目にそれは大きく映った木造の建造物やダイナミックなランドスケープが背後の山と交じり合って消えていくあわいに現れる、湿り気を帯びた独特の陰りの表情。今、建築をつくる仕事に就いてあらためて追い求めているのは、子供の頃に見ていたそんな情景なのかもしれません。
現代の技術、素材を携えて、多くの人が新しさと懐かしさを同時に感じる、そんな現代の日本建築をTPODのメンバーとともに実現したいですね。